本編〜第1話

 俺の名前はソリッド=スネーク、シャドーモセス町にあるFOX HOUND中学校に通う一四歳の少年だ。だが俺には名前などない。学校では意味がないからだ。この年頃になると周りには彼女や彼氏が欲しいなどとほざく輩が大勢出てくる。俺からすればそんな事を言っている奴らはまさしく愚の骨頂と言えるだろう。


 俺は他人の人生に興味を持った事はない


 勘違いされると困るから一応言っておこう。俺は頭もいいしスポーツだってできる。外国語の授業ではいつもトップ、保健体育の器具の扱いだって完璧だ。ガリ勉ばっかしてスポーツができない奴やその逆の奴らとはもはや格が違う!
唯一の悩みは何故かこの年にして三〇歳以上に見られる事だ。生まれたときからヒゲが生えてたらしい……。つまり、異常なほど「親父顔」なのだ……。
 そしてどういう訳かこの中学に限らず町には変人が多い。俺はその変人達に囲まれながら育ってきた。だから俺はこの町唯一の常人だと言っていいだろう。

 今日は、いや、今日もと言った方がいいだろう。俺の教室に転校生がやってきた。女子だった。その女の子は黄色い悪趣味なジャージを着て教室に入ってきた。最初は誰もがその女子のセンスを疑っ  た。俺達の担任の教師がその転校生に向かって言った。
「合言葉を言え。愛国者は?」
 クラス全員が教師の発言に戸惑いを感じている。
「愛国者は? 答えろ!」
 こいつ、まだ続けるか……。するとクラスのプレイボーイ三人が一斉に転校生に襲い掛かった。その女子の「顔」が非常によかったからだ。するとその女性は言った。
「伏せて!」
 誰に言っているんだこいつ……。転校生は口に右手の指をあててプレイボーイ達に投げキッスをし始めた。プレイボーイ達は股間に手をあてて悲痛な叫び声をあげて倒れていく。その投げキッスをする音が銃声に聞こえたのは俺の気のせいだろうか……。
「これが合言葉の、答えよ」
 投げキッスをしてとれた口紅を再び唇に塗りなおしていく。リロードでもしているのだろうか……。そうするとその転校生は何故かジャージのファスナーを下ろし始めた。それにはプレイボーイでない奴でも彼女に食いついた。
「よろしく、EVAよ」
 俺は心の中で「ありがとう、ありがとうか……。いいもんだな」を一人で連呼していた。

 その夜は家でデブリーフィング(ただの日記)を書きながらEVAちゃんを思い出していた。

 あ……、鼻血の出しすぎで意識が……。俺の脳の中でEVAちゃんが俺に……。俺のスティンガーはもう暴発寸前だ。脳の中にいるEVAちゃんに対してロックオンは完了済みだ。あとはミサイルを発射するだけだ。タイミングを見計らって……、今だ!
「お゛お゛〜〜〜〜〜〜〜」

 そこで俺の記憶は途絶えた。