本編〜第2話

 俺の名前はソリッド=スネーク、昨日は官能的な美女EVAちゃんが転校してきた。まだ中学生なのに何故か自称「永遠の一七歳」を名乗っている微妙に不思議系な女の子だ。そしてどういう訳だか今日も転校生が来た。転校生が来る率が高すぎる気がするが気にしないでおこう。このFOX HOUND中学校(以下F・H中とする)には校長のキャンベルを始め、変人しかいない。ちなみに教頭は若い頃のキャンベルだ。その転校生は不気味な鎧のような物を身に着けスポーツチャンバラのスポンジ刀を携帯している。新手のヤンキーか?
「合言葉を言え。愛国者は?」
 この担任は昨日もEVAちゃんに同じ事を言った。ボケているのだろうか?
「じゃなかった。名前を言ってくれ」
 しかしそいつはすぐに喋らなかった。一〇秒間くらい沈黙してからやっと喋った。
「名前などない。お前と同じだ……」
 こいつはすごい。個人情報が一切無いという面白人間だ。その転校生は俺の方を見るといきなり近寄って来た。
「会いたかったぞスネーク!」
 何の事だかさっぱりだ。
「お前は?」
「敵でも味方でもない。そういう次元を超越した世界から帰ってきた……」
 ま、まさか……。俺はこのセリフを聞いた事がある。「敵でも味方でもない」、これは俺がまだ若造だった頃だ。

 小学校のクラブ、ザンジバーランドでの出来事だった。ちょっとした事で喧嘩になり、俺達は地雷原(踏むとスカンクの屁が噴出す)の中で殴りあった。まるで格闘技の試合のようだった……。俺達は汗だくになっても尚も殴り続ける。そして奴は地雷を踏んでしまった。激しい爆発が起き、奴の体はスカンクの屁の中に消えていった。だが俺が勝ったわけではなかった。何故なら俺を含めたその場に居合わせた全員があまりの臭さに気を失っていた。だが奴はその匂いに直撃してしまった。とても生きて帰れる代物ではない。奴は屁の中に消えていった……。

 はずだったのに奴はここにいる。
「グレーフォックス(灰色狐)……。奴はグレーフォックスだ! スネーク間違いない……」
「そんな馬鹿な! 奴はザンジバーランドで俺に……」
「そう、殺されたはず……」
 訳のわからない芝居を頭の中で繰り広げてしまった。何をやっているんだ俺は……。そういえば「敵でも味方でもない」というセリフを聞いた事があると思ったのは勘違いだった。

 昼休み、俺がコンビニに弁当を買いに行こうとしたところ、狐が不良にからまれているのを見た。
「てめー、生意気なんだよ。名前はなんていうんだよ」
「名前などない。お前と同じだ……」
 すごい……。この状況でよく喧嘩を売るような事が言えるな……。俺は変に感心してしまった。
「調子に乗ってんじゃねーよ! いいからメロンパンとウコンの力を買ってこい!」
「はい」
 ……狐はあっさり不良の言うことを聞いて頼まれた物を買いにいった。なんだか妙にむなしくなってきてしまった……。

 涙は既にかれているはずなのに……。